今治
イベント
2017.05.13
「被害以上の価値つけたい」 イノシシを地域の資源に
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大三島で「しまなみイノシシ活用隊」の代表として、害獣のイノシシに食材としての価値をつけ、地域の資源にしようと活動している渡邉さん。
今年1月に岐阜県で行われた、「第1回日本イノシシ祭り」でも同団体のイノシシ肉が見事、日本一に輝き、柑橘が香るといわれる肉の旨さが話題となりました。
現在、県内のレストランなど20ヶ所で、すでに取り扱われています。またウィンナーなどの加工食品や、革製品の販売も行っています。
元々、渡邉さんは大学卒業後、実家のみかん農家を継ぐため大三島に帰郷。観光客向けのみかん狩りに取り組み、軌道に乗りかけた矢先、島でイノシシが出るようになり、深刻な被害を受けました。
丹精込めて作った収穫前のみかんを、大量に食べ散らかす、イノシシとの戦いでした。地元の農家や猟友会の手により、800頭近くのイノシシの捕獲が毎年続きました。そんな日々を過ごすうち、「イノシシに被害を超える価値をつけ、共存しなければいけないのではと思った」と渡邉さん。
7年前、地元の猟友会の会員らと同団体を結成。最初は試行錯誤の連続でした。イノシシの処理の技術、保管の仕方、全てが未知の世界。知り合いの料理人からの助言を頼りに、一から築き上げました。
旬の時期には、月間平均30頭を出荷し、販路も拡大。また先月には松山市北条にも、野生動物の食肉処理場を完成させました。
「続けないと意味がない。どの地域でも形にしていくことが夢」と話しています。