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命がけの毎日

「夢をもち、前向きに」渡部さん

　今治の新鮮な海鮮料理や仕出しで、地元だけではなく観光客からも人気の「大浜」(大浜町１)がこのほど、30周年を迎えました。

　今では客数１５０人が入る大きな店舗を構え、多くの客で賑わっていますが、開店当初は厳しい状況が続きました。30年前、現在の場所とは違う峠の途中に店を構えるも、半年間は客が全く来ませんでした。立地が悪く、30人しか入らない小さな店先を通り行く人が「こんなお店、すぐに潰れるよ」と話す声もよく耳にしました。

　「悔しかったが、私には他の仕事はできなかった」と大将の渡部一彦さん(61)。19歳の時、バイク事故で４ヶ月入院。自由に動かせるのは左腕だけとなり、料理で生きると覚悟を決め、店をもった渡部さん。

　店に来た客が一人の時でも、満足して帰ってもらおうと誠心誠意、対応しました。何より渡部さんの作る新鮮で豪快な料理が口コミで広がり、開店から１年経った頃には軌道に乗り繁盛店に。

　そして18年前、今ある店舗に移転。現在では息子の健也さん（31）も板前となり、共に店を盛り上げています。また昨年には、趣味の店をもつという長年の夢を叶え、居酒屋「夢二」もオープン。

　「まだ、夢の途中にある」と話す渡部さんが尊敬する人は、FC今治のオーナー岡田武史さんと、歌手の矢沢栄吉さん。「いつも前向きで、生き方がかっこいい。私も岡田さんと共に今治を盛り上げたい」と笑顔で話しています。