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今治

生活

2022.09.03

絶望から光繋ぐ喫茶店

391号1ページ

最愛の夫が自死し孤独に
老若男女が集う癒しの場
「こあはしカフェ」 小松さん


最愛の夫が自死し人生の底を経験し、孤独と寂しさから自分の生きる場所をつくろうと1年前、喫茶店をオープンした人がいます。その人は、こあはしカフェ(吉岡町)の店主、小松貴美子さん(55)です。今では同店は小松さんに話を聞いてほしい人であふれ、皆の癒しの場となっています。

 同店は小松さんの自宅1階部分を改装し、昨年7月にオープン。開店と共に小松さんの元気で明るい声が響く店内には、小松さんとの会話を楽しみに老若男女が集います。「お店を始めたのは、夫と死別し寂しくて、私が誰かと話したかった」と小松さん。
 夫の将喜さんとの別れは突然きました。自殺でした。4年前の10月、家に届いたローン会社からの借用書を見た小松さん。「払ってこんかい」と叱り、将喜さんは家を出ました。それが最後の会話でした。小松さんは自分を責めました。
 小松さんは、将喜さんが大好きでした。23歳で恋愛結婚し、結婚記念日は必ず、ホテルに宿泊。子育ても協力的で、いつも味方の将喜さん。かけがえのない存在でした。 
「やのに、最後に何であんな言い方をしたのか。必ず手を振って送っていたけど、この時だけ振らんかった」。後悔が募り、毎日泣きました。体重は15キロ落ち、一切飲まなかった酒を飲み、生活は荒れました。生きることがつらく、人生の底でした。
 別れから3年ほど経ち、静まり返った自宅で一人過ごしていた小松さん。悲劇のヒロインで、周りに迷惑をかけている。このままじゃいかんと思い直し、店をすることを決意。小松さんが生きるためにつくった店が、今では人生に悩む人を癒す場に。
 「人は人じゃないと助けてあげれん。自分の経験が誰かの役に立てたら」と今日も笑顔で、手を振り皆を送ります。

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