松山
生活
2024.06.15
子どもが愛される社会へ 里親制度を知ってほしい
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愛媛で初めて里親の普及・推進に取り組んでいる団体があります。それはNPO法人「子どもリエゾンえひめ」(平和通)です。子どもの権利を大切に、すべての子どもが愛されて育つ社会を目指し、日々活動を行っています。
茶話会や集いの場設け
子どもリエゾンえひめ
同団体は、・里親を広げる・里親を育てる・里親と子どもの出会いを支える・里親家庭に寄り添い支えるという、4つを主軸として活動。
定期的に、茶話会やリエゾンカフェを開き、里親を知ってもらうきっかけ作りを行ったり、専門家を交え、里親が自由に語り合える集いの場を設けたりしています。
また、里親になるための質の高い研修を実施、相談窓口も開設するなど、伴走者として切れ目なく里親を支える活動を行っています。
同団体理事の塩﨑千枝子さん(72)と恭久さん(73)は、政治家だった夫の退職を機に、夫婦で研修を受け、2年前に里親登録を行いました。現在は季節里親として、学校の長期休みなどを利用して3~4日程、施設の子どもが家にやってきます。
一緒にエプロンをして食事を作ったり、宿題をしたり、公園に行ったり…と、孫が遊びに来たかのような感覚で一緒に過ごすという塩崎さん夫妻。特別なことをするのではなく、子どもの話に耳を傾け、普通の生活を経験させてあげることが大切だと言います。
塩崎さんは「一人でも多くの子どもに温かい家庭で育つ経験をさせてあげたい。里親になるのはハードルが高いと思うかもしれないが、自分ができそうなところから関心を持っていただければと思う。茶話会など、気軽に参加してもらえれば嬉しい」と話しています。
里親制度とは
家庭養育困難な子
健全な育成を図る
里親制度とは、家庭での養育が困難または受けられなくなった子どもに、温かい愛情と理解を持った家庭環境の下での養育を提供し、子どもの健全な育成を図るための制度です。
何らかの事情により親と離れて暮らす子どもたちは、統計上だけでも日本には約45,000人います。そうした子どもを自分の家庭に迎え入れて育てるのが里親で、必要な生活費や養育に関する相談など様々なサポートが受けられます。
2016年の児童福祉法改正により、今まで我が国の主流であった児童養護施設よりも家庭養育を優先する原則が確立しました。
施設内で子どもと大人が一対一の関係を構築するのは難しく、情緒や対人関係の基となり子どもの育ちに極めて大切な愛着形成が困難です。里親制度を通じて信頼できる特別な大人との関係を築くことは、個々の子どもの後の人生に良い影響を与えると考えられています。
4月にスタートしたこども家庭庁は、全国の自治体に里親支援センターを設置し、家庭養育推進のため官民一体となった、取り組みを進めています。