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今治

生活

2019.05.25

マイタウン特別企画 来島海峡大橋の裏側

772号8ページ

しまなみ海道開通20周年


世界へ誇る技術と心を集結

困難な工事やり遂げる

未来へ繋ぐ橋を

 

今治市と尾道市を結ぶ瀬戸内しまなみ海道が5月1日、開通20年を迎え、6月1日より各地で様々なイベントが開催されます。今回マイタウンでは、しまなみ海道の中でも日本有数の海の難所、来島海峡にかかる来島海峡大橋の苦難を極めた工事や、「200年以上使われる橋」の理念に込めた未来に繋ぐ想いをお届けします。

 

「200年先も安全に」

 

しまなみ海道の中で大島と今治市の間、約4キロにわたって架かる来島海峡大橋は、三つの大きな吊橋で構成されている世界初の三連吊橋です。平成2年9月に本格着工し平成11年5月に開通しましたが、その工事は非常に厳しいものでした。

来島海峡は最大10ノットで潮が流れ、直径10m以上の大渦が発生。また明石海峡、備讃瀬戸に並ぶ国際航路でもあるため、1日約1000隻もの船舶が潮の流れに乗って行き交う海の難所。こうした場所に橋を建設した本四公団(当時、本州四国連絡高速道路株式会社(山路)の前身)は、迅速かつ安全に工事を進めることが求められました。

 

海の難所で工事短時間で正確に

 

特に難しかったのが、橋を支える基礎の工事です。来島海峡大橋には基礎が全部で10基ありますが、5つが海中にあります。5つの中で、最も施工条件が厳しかった箇所が、武志島の西側に設置された橋脚工事。設置箇所は最大毎秒5mと特に潮の流れが早いため、工事は潮の流れが約6時間おきに一時的に止まる「潮止まり」に合わせました。

その短時間の中で、直径38m、高さ34m、重さ2300トンになる円形の基礎を海底に正確に設置するため、水深40mの海底の岩盤を掘削し、直径50mに及ぶ範囲を平坦に仕上げました。

 

示された産業力継承することが使命

 

「橋を作ることは、その国の産業力を示すことになる」と話すのは当時、施工に携わった同社の副所長、後藤敦さん(55)。そこで考え出したのがガイド杭工法でした。40m以上の杭を事前に海底の設置箇所に打ち、潮止まりの2時間で巨大な基礎を見事に沈設。

設置が終わると、内部にコンクリートを流し込む工程に。海上でコンクリートを連続で流し込むことが可能な巨大なプラント船を製作。水中でも分離しない、特殊なコンクリートも開発するなど、様々な技術と知識を結集させ、約1年で海中基礎の工事は完了しました。←

 


橋を守るために毎日点検

 

→海上を渡る滑らかなケーブルの曲線が、優美な印象を与える同橋。これまでの工法では橋桁の架設作業に時間がかかるため、来島海峡大橋では新たな工法を考え出しました。

それは自航台船による直下吊り工法です。橋桁を素早く架設するため、橋桁を運ぶ台船に定点保持制御のシステムを導入した、画期的な台船を考案。

そして20年経った今でも、同橋は開通当時とほぼ変わらない状態。そこにも、生み出した技術と同社の徹底した管理努力があります。吊橋のケーブルの一番の大敵はサビ。サビからケーブルを守るため、ケーブルには送気乾燥システムを世界で初めて導入。常に湿度40%以下の乾燥した空気をケーブルに送り続けています。そして365日ほぼ毎日、橋に登り点検しています。

「我が社の理念は200年以上使っていただける橋。橋をかけたら終わりではない。技術も我々の想いも全てを、未来の子どもたちに継承することが使命」と後藤さんは話しています。

 

「地域や関係者の協力に感謝」

 

瀬戸内しまなみ海道は、本年5月に開通20周年を迎えました。

建設中を含め関係者の方々や地域の皆様のご理解とご協力があって、無事にこの節目を迎えることができたことに感謝しております。

開通以来、多くのお客様、特に島しょ部にお住まいの方には、通勤、通学、通院など日常生活の一部としてご利用いただき、快適な暮らしを支える基盤となっているものと認識しています。

本四高速では、200年以上の長期にわたって利用される橋をめざした維持管理に取り組んでおり、これからも地域の皆様にとってなくてはならないこの瀬戸内しまなみ海道を、安全、安心、快適にご利用いただけるよう、サービスの充実に努めていきたいと考えています。


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