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今治

文化

2016.02.13

中川さん、平尾さん苦難乗り越え晴れ舞台

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過酷な受験 続けていく不安を克服
「第9回東京藝術大学 愛媛県出身在学生によるコンサート」が、来月4日、今治市中央公民館で開催されますが、そのコンサートに、今治市と西条市出身の学生二人が、様々な苦難を乗り越え、出場します。その二人は学部2年の中川薫子さん(20)と、大学院1年の平尾柚衣さん(23)。

 中川さんは、同コンサートに出場するのは今回が初めて。小学1年生からピアノを始め、ピアノを弾くことが楽しく、同大学附属高校の受験を決めたのは中学2年生の時でした。
 しかし試練はそこからでした。楽譜を読む基礎訓練であるソルフェージュが、入学試験の科目にあり、中川さんは楽譜の知識がなかったのです。そこから受験までの一年間は、必死でした。氷水の中に足をつけたり、寝ないように猛勉強の毎日。そんな努力が報われ、受験目前には、ソルフェージュの試験は0点に近い点数が満点近くまで飛躍的に伸び、難関と言われる高校受験も実技と共に突破。
 一方、平尾さんは今回が4回目の出場。平尾さんは、4歳からピアノを始めました。5歳の時、初めて人前で演奏した緊張感、それを克服できた嬉しさで、ピアノが好きで仕方がなくなりました。
 しかし高校1年生の冬「本当にピアノがしたいのか分からなくなった」と、突然半年間ピアノを辞めてしまったのです。それでも、その半年間全く弾かなかったことで自分自身が心の底からピアノを弾くことが好きだと再認識し、音楽の道に進む決意をしました。
 それから、片道10時間以上の夜行バスで東京へ往復する生活を丸一年続け、見事合格したのです。現在は、同大学の院に進み「全てを活かせる演奏家になりたい」と話す平尾さん。
 二人が本当につらかった時、一番近くで支えてくれたのは母親でした。自分の存在価値、ピアノの楽しさ、つらさ、全てを包み込む大きな愛に「ありがとう以外の言葉はない」と話します。

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