…… TOPICS 詳細 ……


松山

生活

2021.04.24

コロナで弁当屋始め憩いの場に イベント出店から切り替える

34号1ページ

城南を駆けるフロントランナー

宮井 由加里さん(41)


昨年3月の新型コロナ感染拡大で状況が一変した中、本業のイベント出店が軒並み中止になり「すぐに動かなければ」とキッチンカーで移動の弁当屋をはじめ、困難を切り抜けただけでなく、皆の憩いの場をつくった人がいます。その人は、株式会社レッツ(東石井町)の宮井由加里さんです。



宮井さんは夫の竜二さん(42)と共に10年以上前から、香川県発祥のB級グルメ「かっしゃ焼」を、県内外のイベントで出向き販売していました。土日も休みなく働き、人脈を拡げ認知度も上がり、土日は半年先まで予約でいっぱいになるほど人気でした。

そんな矢先の昨年3月はじめ、状況は一変しました。新型コロナの感染により、一つまた一つと毎日、宮井さんの携帯にはイベント中止の連絡ばかり。最終的には全て、白紙になりました。気持ちが滅入る中、学校も休校になり、二人の娘たちの食事を毎食作っていました。「これが大変だった。きっと他のお母さんもつらいはず」と、宮井さんは移動販売で弁当を売ることを決めました。

決断すれば、行動は迅速でした。偶然見つけていた、近所の空き土地を管理するタイガー不動産(余戸南2)に直談判。企画書を作成し「困っているお母さんに、少しでも喜んでもらいたい」と田中慎二社長に想いを伝えると「おもしろい」と田中社長は二つ返事で承諾。

3月末には、日替わり弁当の販売を始めました。開始当初、1日数人だった客は、宮井さん直筆のチラシ配布やライン配信など地道な努力と、口コミで拡がり、今では毎日ほぼ完売。

販売を始めて、気づいたこともありました。「買い物難民や寂しい想いをしている高齢者の人も多かった。」1日10分前後、買い物ついでに宮井さんとの何気ない会話でも「毎日、話すのが楽しみなんよ。ありがとう」と涙を流し喜んでくれる人も。

「外出も制限され、人と会わないことがこんなにもつらいことだと実感した」と宮井さん。昼のみだった営業は今年4月から夜もスタート。木・金の17時から2時間ほど唐揚げなど一品料理を中心に販売しています。

いつも前向きな宮井さんに朗報も。この実体験を母校の流通科学大学で6月、特別講義をすることが決定したのです。「どこでも何でも楽しむこと。そして何事も、やればできると信じることです」と明るい笑顔で話しています。



兵庫県出身。13年前、結婚し松山市へ移住。夫の竜二さんが経営する、一般土木建築やイベント運営なども企画する株式会社レッツの取締役。2年前には、合格率10%の難関資格、1級土木施工管理技士を取得。土木と飲食販売と二足のわらじを履くパワフルな主婦。


ページトップへ