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松山

生活

2021.05.29

“人が大切“の信念で会社も成長 法面工事のエリート集団に 「従業員を信じ任せること」

35号1ページ

(有)田中総業 代表取締役 田中 徹さん( 52 )


「人間が一番大事」と従業員一人ひとりのことを親身に考え、そして従業員を信じて任せ誠実で確かな技術で確実に業績を伸ばしている社長がいます。その人は(有)田中総業(小村町)の代表取締役、田中徹さんです。


同社は32年前、創業。山に人工的な斜面を作る法面工事や、橋梁、ダムなどの足場の組み立てまで、確かで専門的な技術と質の高い施工を誇ります。災害現場など中には急こう配で危険な箇所もあるため、常に気をつけているのは安全第一。
納期まで期間が短い場合は田中さんが交渉に入り、また危険な現場での仕事は自ら下見に行くなど、いつも従業員の命を考えています。
「従業員には無理をさせない。人間が一番大事。皆が一生懸命やってくれているおかげ」と田中さん。社内で隠し事は一切なく、「皆が稼いできたお金やし、皆の会社です。私の会社じゃない。皆に自覚と責任を持ってほしい」と会社の利益も包み隠さず報告します。
社内のパソコンで売上数字や同社の損益、一人ひとりの給与も皆が知ることができます。風通しのいい雰囲気に2年前、転職した京河真澄さんは「こんな会社は初めて。入って良かったと本当に思える会社。社長が見守り、何より信じてくれている」と嬉しそうに話します。
「従業員を雇う覚悟が、社長には必要やろ」と田中さん。若い時は苦労の連続でした。16歳で神戸に行き、とび職に就職。住み込みで修行し、必死に仕事を覚えました。裸一貫で独立したのは、20歳の時。人脈も基盤もない中、経営的に厳しい状況は何度もありました。
松山から高松まで営業に行くにも電車の特急券が買えない時もありました。どん底でしたが、「上がるしかなかった、耐えるしかなかった」と明るく笑いとばす田中さんの器の大きさと裏表のない誠実な人柄に、人は自然と集まりました。取引先も従業員も増え、今では県内全域で法面保護工事を専門に事業展開しています。
創業当時も、経営が厳しい時も、業績が順調な今も、田中さんにはぶれない信念があります。それは戦国時代きっての名武将、武田信玄の言葉「人は石垣、人は城、人は堀」。「人は石垣や城と同じくらい、戦いの勝敗を決めるのに大切。会社で大切なのは人しかない」と澄んだ目で穏やかに微笑みます。

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