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今治

生活

2022.05.14

加戸守行元県知事お別れの会

852号4ページ

郷土愛 溢れた、信念の人

700人が参列し別れ惜しむ



一昨年3月21日に亡くなった加戸守行元愛媛県知事のお別れの会が3月22日に松山市の県民文化会館で営まれ、約700人の参列者が在りし日の姿を偲び、別れを惜しんだ。





惻隠の心

 新型コロナウイルスの影響で延期されていたお別れの会では、まず黙祷が捧げられたあと加戸元知事が歩んだ足跡をビデオ上映。

 70市町村から20市町にした平成の大合併の推進やハワイ沖で米原子力潜水艦に沈められた宇和島水産高校のえひめ丸事故の行方不明者の捜索要請、愛媛県で初めての単独開催となるえひめ国体の誘致を決めたことなど加戸県政の功績をたどった。そして「惻隠の心」を大切にし、開かれた県政を目指した加戸元知事が「職員は知事や上司に目線を合わせるのではなく、県民や市町村に目線を合わせて欲しい」と退職時に職員に要望した実声が紹介された。



恩人であり恩師

 続いてお別れの会実行委員長の中村時広知事が「特にご自身の信条だった『惻隠の心』を『愛と心のネットワーク』という形で普遍化され、ボランティアの方々の支援を通じて、県民が支え合い助け合う礎を築かれました。

 新武道館の建設や県民オペラの上映をはじめとした文化・スポーツの振興、えひめ国体の誘致、愛あるブランド産品の全国発信など本県の発展に大きく尽くされた」と述べ、さらに「私には加戸さんは恩人でもあり、恩師でもありました。平成11年松山市長選では政党や団体の支援もなく、徒手空拳で挑戦した私に、個人の立場で応援すると表明され、夕方には毎日、私の街宣車に乗り込んでマイクを握り続けてくださり、どれだけ心強かったことか。そのお姿を終生、忘れることはありません」と式辞を述べた。





日本の著作権改革を

 この後の追悼の辞では、森喜朗元総理が文部大臣時代、文化庁次長だった加戸元知事と難しかった日本の著作権改革に取り組み法整備をしたことや、教員の給料アップ、米飯給食の導入を実現させたことを紹介。

 総理大臣時代に起きたえひめ丸事故では、「アメリカ人は海のなかにいる人は起こさないほうがいい、静かに眠るほうがいいという文化に、私と加戸さんが日本の文化とは違うんだと訴え、遺体の引き揚げを認めさせたのは大きな仕事でした」と明かした。



濡れ衣を晴らす

 安倍晋三元総理の代読として立った井原巧衆議院議員は、安倍元総理がこの日、松山入りし、式典前に同会場で献花したことを報告し、教育改革のため安倍元総理自身が設置した、教育再生実行会議に就任要請した加戸元知事が委員の中心的メンバーとして常に会議をリードしていたことの礼を述べ、今治の加計学園獣医学部の設置をめぐり野党やマスコミから問題化されるなか「体調が充分ではなかった中、参考人として予算委員会に出席され、加戸さんは『安倍総理にかけられた濡れ衣を晴らすために立ちたい』と話され、その加戸さんの信念と勇気に涙が出るほど感動し、感謝の思いで一杯でした」と謝辞を述べた。

池田忠幸元県議会議長の代読として清家俊蔵元県議会議長が立ち、日本著作権協会理事長だった加戸元知事を知事候補に擁立した後、協会から嘆願書が届き、日本の有名な作曲家や作詞家16人から「加戸理事長は協会には余人を持て代え難く、他の候補を探して欲しい」との要請があったことなど裏事情を語り「あなたは人に温かく誠実な人でした。そしてあなたの口からはいつも妻、道子が飛び出し、仲睦まじき2人の姿に皆目を細め、それも人徳のたまものでした」と述べた。



脇が甘いが清廉潔白

 加戸県政で教育長、副知事と9年間務めた

吉野内直光元副知事は「加戸さんはリップサービスが旺盛で脇が甘いと言われたが、その甘さを清廉潔白な政治姿勢でカバーしていたと思います」。

  また、3期目の出馬に反対した道子夫人に加戸元知事は「出馬するのなら道子は東京に帰ると言う。僕はねえ、道子がいなければ生きていけない」と話した愛妻家のエピソードも明かし「われもまた同じ川面の 花筏」の句を詠み別れを告げた。

 

 

 お母さんに会える

 最後に道子夫人が登壇し「3年前の4月に余命半年から1年半と宣言され、主人はご縁のあった方に自分なりのお別れを重ね、あの体で憲法改正の講話を精力的にこなしていました。26歳で亡くなったお母さんとあちらの世界で会えるのが楽しみ。道子が来るまで自慢話をしながら親不孝の償いをしているよと言っていました。55年間、ともに過ごして私のことを本当に大切にしてくれた主人でした。皆様に心から感謝申し上げます」とお礼を述べた。この後、司会を務めたみかん一座の座長・戒田節子さんが式典を締めくくり、参列者が献花に並び、別れを惜しんだ。




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