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新居浜

文化

2022.06.18

金言に出逢う  生活協同組合コープえひめ 理事長 美濃 欽也さん(62

386号2ページ

万事研修、感謝協力




 「コロナ禍のなかで、人命と安全を最優先して組合員や地域の暮らしを支えたい」。2018年に理事長に就任。組合員は30万6千人に達し、昨年度の事業高は356億円に上る組織を率いる。
 高校卒業後に東京で就職。6年後、えひめ生協(現コープえひめ)に勤めていた同級生から生活協同組合の成り立ちや創設者の賀川豊彦の話を聞き、帰郷を促されて同生協に入協した。
 えひめ生協の創設期の職員はわずか37人。早朝から働き、職場で寝泊まりする状況も。
 「このままではいけない」と同僚らと共に労働組合を目指した。幹部からも「労働者側と経営者側は対等であるべき」と言われて勇気づけられ、半年後に職員全員が加盟する組合を結成。委員長に就任し、労働条件や福利厚生面の改善などに取り組んだ。「対立ではなくお互いが納得する家族的な職場環境が生まれた」と述懐する。
 30歳代の時に小学校5年の長男が難病になり大阪で入院。5年間の闘病生活に家族が交代で看病。治療費も膨らんだが、職場全体で支援カンパの輪が広がった。「仲間の愛情は一生忘れることはできない」。職員による助け合いの精神を誇りにする。
 その精神を生かすため苦悩したのが人事教育部長時代に構築したえひめ生協とアイコープの合併に伴う人事制度だった。両組織の賃金や職級などを決めるもので「本来なら人員整理の必要もあったが、それを避ける一方で管理職の整理や賃金のバランスも必要だった」。各事業所で説明会を開いたが、お互いの組織の歴史や価値観、マネジメントをすり合わせるには両組織から反発を買う覚悟で臨んだという。合併後の7年間は新卒の採用はできなかったが「何を言われても職員の家族を守りたかった」という信念に支えられた。
 私生活では約20年間、小学生のバスケットボールチームコーチとして指揮し、全国大会に過去2回出場させた。子どもたちの育成には「短所を5つ見つけるより長所一つ見つける方が難しい。ほめて伸ばすことが大事」と目を細める。
 好きな言葉は松下幸之助の「万事研修の事」「感謝協力の事」など五誓。「どんな時でも学ぶ姿勢を大切にして、和と感謝の心を抱きたい」と話す。
 昨年度にはコープかがわが新たに加わりカタログ事業が拡大。仕入れ条件の改善やコスト削減も図る。「私は人が大好き。職員全体でスクラムを組んで一歩一歩、前進させたい」と話す笑顔はさわやかだ。(愛媛ジャーナルより転載)

経歴メモ
みの きんや
1959年9月24日生まれ、松山市出身。県立松山工業高校卒。1984年、えひめ生協入協。2012年、専務理事。2018年、理事長。妻と一女、孫2人。趣味はバイク、スポーツ観戦。血液型はA型。

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